身内に不幸があった年の夏、「初盆(はつぼん)ってどうすればいいの?」と悩む方はとても多いものです。喪主として何を用意すればいいのか、親族やお寺との付き合い方は?お布施はいくら?と、わからないことだらけで不安になるのも無理はありません。
この記事では、初盆の意味から準備・費用・宗派による違い、現代の事情まで、初めてでも後悔のない供養のための知識をやさしく解説します。
初盆(新盆)とは、故人が亡くなって四十九日を過ぎて初めて迎えるお盆で、特に丁寧に供養するのが習わしとされています。
初盆とは?意味と仏教的な考え方
「初盆(はつぼん)」とは、故人が亡くなってから初めて迎えるお盆のことです。
地域によっては「新盆(にいぼん)」とも呼ばれ、四十九日法要が終わった後に迎えるお盆が対象となります。逆に、四十九日が過ぎていない場合は、翌年が初盆となります。
仏教では、お盆はご先祖さまや亡き人の霊が帰ってくる時期とされ、特に初盆は故人が初めて帰ってくると考えられるため、手厚く供養する風習があります。
初盆の準備|何をいつまでに用意すればいい?
主な準備内容は以下の通りです:
- 僧侶への読経依頼
- 自宅やお墓、または寺院での読経をお願いする
- お布施・お車代・御膳料などの用意
- 白提灯の準備
- 初盆専用の「白提灯」を新しく用意(翌年以降は絵柄入りを使用)
- 吊るす場所・点灯のタイミングは地域や家の事情に合わせる
- 精霊棚(しょうりょうだな)やお供え物の準備
- きゅうり馬やナス牛などを飾る地域も
- 一般的な飾り方の例もありますが、宗派や地域の慣習を優先しましょう
- 親族への案内
- 日程、読経の有無、会食の有無を事前に連絡
- 会食がない場合は返礼品を手配
✅ 初盆は特に地域や宗派の影響が大きいため、準備に入る前に「菩提寺・親族」への相談が安心です。
初盆のお布施・お車代・御膳料の相場とマナー
一般的な費用目安
項目 | 相場の目安 | 備考 |
---|---|---|
お布施 | 5千円〜2万円 | 地域差・寺院方針により幅あり |
お車代 | 3千円〜5千円 | 僧侶を呼ぶ場合のみ |
御膳料 | 3千円〜5千円 | 食事を出さない場合の心付け |
※最近では「お車代・御膳料は不要」とする僧侶も増えています。必ず事前に確認しましょう。
お布施の尋ね方の工夫
いきなり金額を聞くのが失礼にならないように、以下のような聞き方がおすすめです:
「皆さま、初盆ではどのくらいお包みになっていますか?」
「初盆でのご供養のお礼は、皆さまどのようにされていますか?」
このように“周囲の事例”として尋ねることで、柔らかく聞くことができます。
誰を招く?香典返しと返礼品の違いも整理
招く人の範囲
- 一般的には親族(兄弟姉妹、子・孫など)を中心に招きます
- 地域や家によってはご近所や親しい友人を呼ぶこともあります
香典返しと返礼品の違い
項目 | 意味 | タイミング |
---|---|---|
香典返し | 通夜・葬儀の香典に対するお返し | 四十九日後 |
初盆の返礼品 | 初盆の供養に参列してくれた人へのお礼 | 法要当日 |
返礼品は1,000円〜3,000円程度で、以下のような「消えもの」が好まれます:
- お茶、コーヒー
- タオル
- 洗剤セット
- お菓子やそうめん
宗派によって違う初盆の考え方
浄土真宗
- 特別な供養は不要とする立場(霊が帰ってくるという考えがない)
- 提灯や精霊馬も飾らないことが多い
- ただし、地域風習により読経やお供えを行う場合もあり
曹洞宗・臨済宗(禅宗)
- 僧侶による読経を重視
- 塔婆供養を行う地域もあり
- 精霊棚や盆提灯の設置も一般的
日蓮宗
- 法華経の読誦を通して故人の成仏を願う
- 特に信仰心の篤い家庭では盛大に供養されることも
宗派の教義と、地域慣習・お寺の意向は必ずしも一致しないことがあります。両方への確認が確実です。
よくある質問と現代的な悩みへのアドバイス
Q. 遠方で準備できない場合、どうしたらいい?
→ 無理にすべてを整える必要はありません。お布施と挨拶だけでも心は伝わります。
Q. 喪中はがきを出しても、初盆は行う?
→ 喪中と初盆は別の行事です。両立して構いません。
Q. 実家に仏壇がない場合、どう供養する?
→ 祭壇の簡易セットやミニ盆棚など、現代的なスタイルで代用できます。
Q. 招待したくない親族がいるが、断れる?
→ 初盆は家族の心の区切りでもあります。「身内だけで静かに行います」と丁寧に断って大丈夫です。
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まとめ
初盆は、亡くなった方を迎える初めての大切な節目。特別な供養が求められる一方で、やり方に「絶対の正解」はありません。宗派や地域、お寺や家族の意向に配慮しながら、「無理のない範囲で、心を込めて」迎えることが何より大切です。
不安なことがあれば、遠慮せず寺院や親族に相談しながら進めましょう。丁寧な準備とやさしい心遣いが、きっとあたたかい供養の時間に繋がります。